風に恋したキミと



2区の浅岡先輩で距離をグッと縮めて、3区の同じ2年の古川榛ちゃんで1位になったとさやかは速報が届くたびにわたしに教えてくれた。



今は4区の柚里が走ってて、1位で通過したのは聞いたけどこの後はもう襷をもらう時まで分からない。



自分の走る時間が刻々と近づくたびに、緊張がどんどん高まっていって心臓もこれほどにないくらいバクバク言ってる。



1位で帰れなかったらどうしようっていう不安な気持ちもどんどん募ってくる。



そろそろ最終召集の時間だから、そんなこと言ってられない……でも。



さやかに「行ってくるね!」と言ってジャージを脱いで行こうとした時……



「莉桜待って!!



桐島から今急に個人ラインが来て、莉桜に伝言だって。



ゴールで待ってるから俺に向かって走ってこいって」



なにこれ?って怪訝そうにさやかはスマホを見ながら言ってるけど、わたしには今の言葉ですごく力がみなぎってきた気がした。



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