風に恋したキミと
坂を上り切る直前、わたしはもう一度本宮高校の選手を抜かし返した。
上り切るとまた平坦の道に戻って、競技場の門をくぐると歓声がいっぱい聞こえてきた。
後ろからはもう息遣いも足音も聞こえてこない。
わたしは息切れを我慢して、ゴールまで一歩一歩足を進める。
中学の頃からずっと夢に見ていた駅伝で走る夢。
それがこんなに過酷で、苦しくて、投げ出したい気持ちになることが何度もあるなんて思いもしなかったけど
それでもこうやって風を感じながら走ることがこんなにも楽しいなんて思いもしなかった。
京都の全国大会でもみんなの襷を繋いで、絶対に走り切ってみせるよ。
わたしは目の前に待ち構える真っ白いゴールテープを走り抜けて、待っててくれたみんなの元へ思いっきり飛び込んだんだ。