風に恋したキミと
上村先輩が来たのは1位の選手がゴールして少し経ってから競技場に入ってきた。
競技場の観客の人たちは「頑張れ―!」と声援を送るけど
上村先輩は足を引きずりながら、やっとの思いで走っていてその姿にも心が痛んだ。
男子達は「ゴール後少しだぞ」「頑張れ!」と全国に行けない気持ちでいっぱいなのに声を必死に掛け続けていて。
上村先輩はゴールと同時に崩れ落ちるように倒れていて、それを見た男子達は上村先輩のところに急いで向かっていた。
みんなに支えられながら歩く上村先輩は「ごめん、ごめん」と何度もみんなに謝っていた。
その中で女子達は男子達の背中を見送ることしかできなくて。
上村先輩には誰も声を掛けられなかった。