風に恋したキミと



7区までの区間賞の選手が呼ばれた後、桐島は賞状と区間賞のメダルをもらってまた戻ってきて



全国に行けないのに、自分だけ賞状とメダルをもらったから少し遠慮しているように見えたけど



みんなが桐島を盛大に「おめでとう!」って声を掛けたことで桐島も少しだけ笑っていた。



閉会式が終わると、帰る準備をするように部長から指示が出てから



桐島が橋本先生に呼ばれてるのが目に入ったけど、きっと褒められてるのかなと思ってそこまで気にしなかった。



わたしも面と向かってあとでちゃんと桐島に「おめでとう」って言おうって心に決めた。



そして横断幕を片付けたり、シートを畳んだり一通り帰りの準備をすると、わたしを呼ぶ桐島の声が聞こえた。



振り向くとそこにいたのは桐島と桐島のお母さんだった。



「初めまして、佑真の母です。いつも佑真がお世話になってます」



「あっ!こちらこそお世話になってます。小川莉桜です」



駅伝の日にあいさつすることになるなって予想はしてたけど、こんないきなり会うことになるなんて思わなくて



わたしは桐島のお母さんの言葉に対してただただ緊張しながら答えることしかできなかった。



でも桐島のお母さんは『佑真、小川さんにわがまま言ったりしてない?困ったことあったらいつでもLINEで言ってね!ごはん抜きにして反省させるからなーんて!』と言って笑わせてくれた一面もあった。



そして最後には『優勝おめでとう!すごいいい走りしてたよ!都大路でも頑張ってね!応援行くから』と言ってくれてまた会えるみたいで嬉しくなった。



こうして男女で都大路の切符は掴むことはできなかったけど、わたしの夢はようやく自分の手で掴み取ることができた。



明日からの練習もまたキツイと思うけど、でも男子の分まで、メンバーに選ばれなかったみんなのために一生懸命走りたいって思ったんだ。




< 261 / 361 >

この作品をシェア

pagetop