風に恋したキミと
「●●高校、早山高校、ラインに立って」
「はいっ!」
ついにわたしが都大路を走る瞬間が来た。
係の人に呼ばれて、わたしは結んだはちまきをきゅっとリボン結びをした輪の部分を引っ張った。
先に●●高校が走り出した後、両手でわたしが取りやすいように襷を持って走ってきた柚里から襷をもらって
「莉桜がんばって!」
と最後の力を振り絞って出してくれた彼女のエールをもらってわたしは走り出した。
半分よりは上だけど、上位の方ではないから自分が何位かは分からない。
それでも自分の見える人は抜かしていこうと決めて、
わたしは前へ、前へと足を進めた。