風に恋したキミと
競技場の中に入ると、「わーーっ!」という歓声に包まれていて、
そんな中でも「小川頑張れ!」「ラストラスト!」という声がどこからか聞こえてきた。
わたしはもう全部の体力を使い切る勢いで、ラストスパートをかけた。
腕をこれでもかってくらい振って、足をもっと速く動かして。
そしてゴールラインに足を踏み込んだ時、都大路を走り切れたことが嬉しくて思わず一筋の涙が流れた。
ずっと夢にまで見てきた都大路で走ることができたことがすごく嬉しくて
ここまで頑張ってきて、走ってきて、怪我しても辛い練習を乗り越えてきて本当によかったって
……初めて思えた瞬間だった。