風に恋したキミと
テレビに映るのは先頭集団を始め、知らない選手ばっかりで探すのを諦めたくなる。
でも心の中では何度も『桐島、頑張って!』と叫ぶ。
「ねー莉桜、明日桐島こっちに戻ってくるかな?
桐島にもたぶん後輩たちの駅伝の激励に行く連絡は行ってると思うんだけど」
「どうだろう。この結果次第かもしれないね!」
明日は同学年のみんなで来週開催される都大路の予選の激励に行くことになっている。
わたしたち男子、女子両方とも自分たちで果たせなかった都大路の切符を後輩たちに掴んでもらうために。
レースの距離は20kmで、時間は1時間20分で打ち切り。
「もうゴールだね…!」
「え、ちょっと桐島どこにもいないじゃん!この1時間わたしたち何してたの」
1時間くらいで続々と選手たちはゴールしたが、最後までわたしたちは桐島を見つけることはできなかったんだ。
こうなるんだったら直接見にいけば良かったかもと口には出さないけれど後悔の気持ちが湧いてきた。