風に恋したキミと
「大丈夫だよ、これくらい」
わたしはやっぱりこの痛みを桐島にも誰にもバレたくなくて強がってそう言った。
桐島はわたしの返事を聞くと、その後は何も言わずに去って行った。
だってもうすぐ全国大会にまで繋がる大きな大会がはじまる。
選手を選ぶための記録会だってあるのに、ここでみんなに止められて諦めるなんて絶対嫌だ。
ましてや、記録しか取ってもらえないオープン参加なんて考えらんない。
大丈夫、わたしの足は大会までにきっと戻る。
そう信じて、次のメニューが先輩から出されると、何事もなかったかのようにわたしはみんなの前で振るまって今日も走り続けたんだ。