【BL】キュート王子とクール王子とバレンタイン【短編】
そこからは俺も言うことはなくなった。
お互い無言に
あとは先輩が次にどう出てくるかである。
突然先輩が話し出す。
「...藍ちゃんはさ 花言葉って知ってる?」
あまりにも小さい声だったから危うく聞き逃すところだった。
「俺は花言葉なんて知りませんよ?」
「...そっかぁ」
遠くを見つめ 先輩は悲しそうにつぶやく。
そしてポツリ ポツリと話し始めた。
「赤いチューリップにも花言葉があるんだよ」
正直言って俺に花言葉など どうでもいい。
でも 先輩が大事そうに話すから聞かないわけにはいかない。
「本当は藍ちゃんが自分で分かっていれば良かったんだけどね」
また悲しそうに微笑む先輩。
胸が痛くなる。
スーッと深呼吸をしたあと 俺をまっすぐ先輩は見た。
「藍ちゃん。一回しか言わないからちゃんと聞いてください」
笑顔を引っ込めて真顔へと変わった。
「赤いチューリップの花言葉は『愛の告白』」
頬を真っ赤に染めて今にも逃げ出しそうな勢いで...
しかし先輩は逃げ出さずに俺の目をまっすぐと見た。
「僕からの告白受けてくれますか?」