あきらめない ~ 青空の下のマウンド ~
「あ、史花怪我してんじゃん」
歩いて私のところにきた啓は私の肘を指差して言った
「うん。カーペットを守ってたら転んじゃった」
「カーペット?なんだそりゃ」
「そこにいっぱいあるやつ」
「・・・まあいい。ほら、どうせ絆創膏とか持ってんだろ?貼ってやるから出せ」
「はーい」
啓にそう言われて、私は自分のカバンの中に入っている救急用のポーチを出し、啓に渡した
ポーチの中には、絆創膏やミニの消毒液、ソーイングセットなど、よく転んで怪我をする私には必要不可欠なものが入っている
「あそこの水道まで歩けるか?」
啓はそう言って、少し離れたところにある公園を指差した
「うん」
私は桜のあるところを避けながらその水道まで行き、傷口を洗ったあと近くのベンチに座った
「よし、できたな」
手先の器用な啓に貼ってもらった絆創膏は、しわ一つなくピチッと貼られている
「うん。ありがと」
私がそういうと、啓は「もう慣れたもんだ」と言って笑った