あきらめない ~ 青空の下のマウンド ~
いつも怪我をしたときに手当をしてくれるのは啓
自分でも出来るけれど、小さい頃からいつも啓にしてもらってたからか、今もやってもらってる
きっと啓からみたら、私は世話の焼ける妹
たまに " 妹 " という立場よりお姉ちゃんになりたいと思うことはある
けれど、失敗をしても助けてくれる啓に、ついつい甘えてしまう
「・・・?どうした史花?」
ボーッとしていた私に啓がそう言う
「ううん。啓にはいつも迷惑かけてるなーって思ってただけ!」
「分かってんならちゃんとしろ!」
そう言いながら、啓は私の頭にチョップをした。
「いたー…」
私がそう言うと、啓は
「そんな強くしてねーって」
と言って笑った
少し意地悪だけど、やっぱり優しい
そんな啓が、私は好き
もちろん幼馴染としてだけれど
「あ、啓!私早く行って自主練しようと思ってたんだけどさ、キャッチボール付き合ってくれる?」
「俺もちょうど自主練しようと思って早くでてきたところだし、やるか!」
「やった!」
私はそう言って、近くにある自分のエナメルからグローブとボールをだした
私と啓は地元の硬式野球チームである閑田(かんだ)シニアに入っていて、私はピッチャー、啓はセカンドをしている。
部員は全員で45名ほどいるけれど、女子は私1人だけ。
寂しくないかって聞かれたらそりゃ寂しいけれど、大好きな野球を続けるためだから仕方ない。