あきらめない ~ 青空の下のマウンド ~
" 頑張れ "
そう言われても、今の俺にはなにもできない
本当は頑張りたい
好きだと言いたい
彼女にしたい
史花に好きだと言わせたい
でも史花は、俺のことをそんな風に見ていない
史花は俺とどんな関係でいたいのか
そんなことは、分かっている
史花は、俺に " お兄ちゃん " のような存在でいて欲しいんだって
だから今は、この関係が崩れるのが怖い
幼馴染として、史花のお兄ちゃんとしての啓でいい
そばにいられるならそんなことどうだっていい
でも、いつか必ず、俺に惚れさせる
惚れさせて、この片思いを実らせる
「啓ー?」
いつの間にか朝の会は終わっていたらしく、史花は俺の顔の前で手を振っていた
「史花…」
「あ、気づいた!
なんかボーッとしてたけど、大丈夫?」
「あ、ああ…うん。大丈夫。
史花こそ登校中ずっとボーッとしてたけど、大丈夫か?」