あきらめない ~ 青空の下のマウンド ~
「よーし!こい!」
そう言って私からボールが投げられるのを身構えながら待つ啓
そんな啓がおかしくて、自然と笑いがこぼれた
「ぷっ… なんでそんな身構えてるの?」
私が聞くと、啓は真顔のまま
「本気でこられたら困るから」
と答えた
・・・
「初めから本気でやったりしません!」
私はそう言って軽くボールを投げる
啓はそれをキャッチすると、
「よし!俺は本気で!」
と言ってボールを投げようとする
「わ!!準備体操だよ!!」
私がそう言うと、啓は振り降ろそうとした手を止め、「なんて嘘」と二カッと笑った
そして、軽くボールを投げた
私もまたそれをキャッチして、今度は普通にボールを投げる
パン !
啓のグローブからそんな音がする
やっぱいいな…この音…
ボールがグローブに収まる音
これは、私の大好きな音の1つ
小さい頃からずっと聞いてきた音だからか、この音があるだけですごく落ち着く
「おーい史花ー」
「あ、ごめんごめん!こいこい!」
私がそう言うと、啓は「いくぞ!」と言ってボールを投げた。
それから私たちはある程度キャッチボールをしてから少しバットを振ってからシニアの練習へ行った