あきらめない ~ 青空の下のマウンド ~
そう言って永岡が笑うと史花は顔を少し赤くして
「な、何と無く…」
と言った
・・・なんだこの感じ
ズキっとして、すごく胸がいたい
「わっ!!」
目の前で史花が石につまづいてこけかける
すると永岡はそれを支え
「大丈夫?」
と聞いた
「うん…。ありがとう」
はずかしそうに笑う史花を見ながら、またさらに胸が痛くなる
なんだろう
こんな史花の顔、今まで見たことがない
「・・・あ!俺行かないと行けないところがあるから、また明日!」
近くにある公園の時計を見た永岡は早口でそう言って、走って行ってしまった
史花はそんな永岡の背中を、愛おしそうに見つめている
「だめだ…」
いつの間にか声に出ていた
史花には聞こえていなかったようで、まだ永岡が走って行った方を見ている
なにがダメなんだろうなんて、
そんなこと考えなくても分かってる
好きな人に、好きな人ができる瞬間なんて、見たくなかった…