あきらめない ~ 青空の下のマウンド ~
「うん。技術も考え方も私なんかよりずっと上で、心もすごく強くてさ」
「ピッチャーはここが強くなきゃやってらんないからな〜」
お父さんはそう言って、自分の胸をグーでポンポンと2回叩いた
「・・・今日の試合で、私って心弱いなって思ったの」
「・・・」
「7点差もつけられて、もう無理だって思ってるくせに、少し余裕ぶった」
「そうか」
「・・・ただでさえ男子に力で負けてるのに、心まで負けちゃってたら、私の良いところって何があるんだろう…」
これからまたさらに差をつけられて、野球がしたくても出来なくなるんじゃないか
何年後かの自分はもう、試合に出てないんじゃないかって、すごく怖くて
今まで気づかないようにしていたことに気づかされた
「・・・母さんが野球をしてたことは知ってるな?」
「・・・うん」
「母さんな、父さんのいた野球の強豪校の高校に、性別偽って入ってきたんだ」
「は?!」
「ははっ。びっくりだろ〜」
驚いている私を見てお父さんは笑いながらそう言った