あきらめない ~ 青空の下のマウンド ~

「うん。技術も考え方も私なんかよりずっと上で、心もすごく強くてさ」


「ピッチャーはここが強くなきゃやってらんないからな〜」


お父さんはそう言って、自分の胸をグーでポンポンと2回叩いた


「・・・今日の試合で、私って心弱いなって思ったの」


「・・・」


「7点差もつけられて、もう無理だって思ってるくせに、少し余裕ぶった」


「そうか」


「・・・ただでさえ男子に力で負けてるのに、心まで負けちゃってたら、私の良いところって何があるんだろう…」


これからまたさらに差をつけられて、野球がしたくても出来なくなるんじゃないか


何年後かの自分はもう、試合に出てないんじゃないかって、すごく怖くて


今まで気づかないようにしていたことに気づかされた


「・・・母さんが野球をしてたことは知ってるな?」


「・・・うん」


「母さんな、父さんのいた野球の強豪校の高校に、性別偽って入ってきたんだ」


「は?!」


「ははっ。びっくりだろ〜」


驚いている私を見てお父さんは笑いながらそう言った

< 61 / 105 >

この作品をシェア

pagetop