あきらめない ~ 青空の下のマウンド ~
「もちろん女の子は1人だけ。しかも寮に入ってたから、母さんは毎日女だってこと隠して過ごしてたんだ。
でも、ルームメイトだった父さんにはすぐにばれてな。監督に話すように説得してたんだよ」
「それでそれで?」
「そしたら、母さん大声で言ったんだ。
" 男には絶対に負けない!!私はあんたらの何倍だって練習する覚悟で入ってんだ!女だからってなめんなよ!"って」
・・・知らなかった
お母さんが野球をしていたことは知っていたけど、まさか性別を偽って野球部に入っていたなんて…
「それから、父さんは母さんに協力して母さんが女だってこと隠してたんだ。幸い母さんはわりと男っぽい性格だしな。 それでも、いつか必ず男子に勝てなくなる日が来るって思ってた」
「・・・」
男子に、勝てなくなる…
「でも、母さんは全然負けてなかった。むしろ上だったかもしれないな。そこらへんの男より、ずっと。甲子園ではライトのレギュラーで出てたんだぞ?」
「・・・すごい」
「な。それもこれも全部、母さんの諦めなかった気持ちと努力の証だって、父さんは思ってる」
「・・・」
「・・・諦めたら終わりだぞ」
「・・・うん。頑張る」
「おし!あ、父さんも頑張るからな。見てろよ?明日の試合で父さん大活躍するからな!」