あきらめない ~ 青空の下のマウンド ~
「え…?なんで?」
「なんでって、熱あるじゃない!」
「あ、そうだったんだ…。
どうりでぼーっとするわけだ…。
大丈夫だよ。1人で帰れるから、山内さんはランニング続けて?」
「熱ある人をほっとけるわけないでしょ!立てないならおんぶするよ?多分、乗ってもらえば出来ると思うから!」
「女の子におんぶさせれません」
永岡くんはそう言って笑い、続けて
「歩けるから大丈夫」
と言った
少しだけふらついている永岡くんの体を支え、永岡くんの家の方向へと歩く
「こっちだよね?」といつも帰っている方を指差すと、永岡くんは首を振り、それと反対の方向を指差して「あっち」と言った
「あれ…?」
なんで逆…?
「・・・あっちには用事があるからいってるだけなんだ」
永岡くんはそう言って、また悲しそうな顔をした
「そ、そっか!」
私はそう言って永岡くんが指差した方へと歩いた
永岡くんの家につき、鍵を受け取って中に入ると、永岡くんは
「ありがとう。もう大丈夫」
と言った
すると、玄関から見える廊下の1番奥のドアから、小さな女の子が「お兄ちゃん…?」と顔を出した
「あ、千夏…。ただいま」
永岡くんがそう言うと、その子は永岡くんにかけよるり、睨むように私を見て
「あなたはだれ!」
と大きな声で言った