あきらめない ~ 青空の下のマウンド ~
「お父さんには…?」
「そう。和也は1年のときからずっと、周りよりズバ抜けて野球がうまかったからね」
「プロで活躍してるんだもん。そりゃそうだよ」
「そうかもね。
・・・でも母さんはそれが気に入らなかった。負けず嫌いだったっていうより、同室で、女だってばれてる和也になめられたくなかったからな」
「でも、たくさん練習して勝ったんでしょ?その、お父さん以外には」
すると、お母さんは呆れたような顔をして
「男を甘く見ちゃダメだよ?」
と言った
「え…」
「練習して追いついても、すぐに越される。何回も思ったよ。なんで女に生まれてきたんだろうって」
「・・・」
昨日聞いたお父さんの話の中で、1つだけ疑問に思ったことがあった
本当に、努力さえすれば男子に勝てるのかな
確かに、勝つには努力しかないかもしれない
でも、それと、" 勝つ " っいうのは別物のように思えた
やっぱり、努力しても勝つとまではいかないのかな…
「・・・史が今、何を悩んでいるのか良くわかるよ。男子とだんだん力の差が出てくる頃だし、史はあまり力のある方じゃないからね」