あきらめない ~ 青空の下のマウンド ~
「うん…」
自分があまり力がないっていうのは、よく分かってる
「でもね。お母さんは別に、練習をたくさんすれば男子に勝てると思ってやってたんじゃない。
ほんの少しの可能性を信じてやってた」
「可能性…?」
「諦めるのが嫌だった。
大好きな野球を、性別関係なく本気でやりたい。野球で上を目指したい。
だから、少しの可能性にかけたの」
そう言ったお母さんの顔はすごく真剣で、本当に信じてやっていたことが伝わってくる
「・・・私もお母さんみたいになれるかな?」
「なれるよ。きっと。だってお母さんとお父さんの子供だもん。
男装して野球部に入るのはオススメしないけどね」
お母さんは ニッ と笑って私の頭を優しく撫でた
「やっぱきつかった?」
「もちろん。
お風呂とか毎日ヒヤヒヤしてたし、トイレもどっち入ろうかすごく悩んだし」
「結局どっちに入ってたの?」
「全くひと気のないトイレにわざわざ行って、女子トイレでしてた」
「・・・大変そう」