あきらめない ~ 青空の下のマウンド ~
そのはずだった
朝
いつもより少し早めに起きて、準備体操をしたあと素振りとランニングをする
「よし…!今日は全部した…!!」
いつもより量が多いから少し息切れしちゃったけど、なんとかこなせた
朝ご飯を食べて制服に着替え、啓が来るのを待っていると、プルルルルルと電話がなった
電話機の画面をみると、そこには桜庭の文字
「もしもし?」
「あ、史花か?」
「うん。どうしたの?」
「昨日の夜おじいちゃんが亡くなってさ…。
今日から4日間鹿児島に行かなきゃいけなくなった。だから、一緒に学校いけない。」
「そっか…」
「ごめんな」
「いや、私は全然大丈夫だけど…。
・・・大丈夫?」
「うん。
とりあえず、気をつけて行けよ?
史花ほんとによく転ぶから」
「・・・はい、気をつけます」
「ん。じゃあな」
「うん。バイバイ」
電話を切って、受話器を手にしたまま思う
こんなときでも啓を心配させる私って…
「・・・とりあえず行こっと」
リュックを背負い「 いってきます 」というと、お母さんに「あれ?啓くんは?」と聞かれ、事情を説明してから家を出た
1人の通学路は少し寂しい
話し相手がいないだけでこんなに違うものなんだな〜…