あきらめない ~ 青空の下のマウンド ~

いつもより長く感じる道のりを経てようやく学校につく


下駄箱で上履きに履き替え、急ぎ足で教室へと歩いていると、突然誰かに後ろからドンッ!と抱きつかれた


「わ!!」


「おはよ史花!」


「なっちゃんか…びっくりしたぁ…」


「へへへ。驚いた?」


なっちゃんこと 花本 夏生 ( はなもと なつき ) はそう言って、いたずらっ子のような笑顔を浮かべた


「あれ?今日桜庭は?」


「家庭の用事。今日から4日間いないんの」


「ふーん。そっか。
・・・じゃあ、今日は久しぶりに一緒に帰る?」


「え!なっちゃん部活ないの?」


「本日はお休みです」


「やった!」


ガッツポーズをしながら言うと、なっちゃんはニコッと優しく笑った


教室に入ると、啓の友達である遠藤くんに


「あれ、今日は花本と?啓は?」


と聞かれる


「家庭の用事でお休み」


「マジかよ〜…」


「なんか用でもあったの?」


落胆している遠藤くんになっちゃんがそう聞くと、遠藤くんは


「からかう相手がいないなんてつまんねーなー…」


と言った


「遠藤の黒い部分が見えた…」


なっちゃんはそう言って少し引きつったような顔をした
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