眠れぬ夜に
どれくらい寝てたのだろう
コンコン
助手席側の窓ガラスをノックする音で私は目覚めた

叔母が戻ったのかな?
そう思い
起き上がろうとしたが…

体が動かない

なんだこれ…

視線を向けることはできないが
助手席側に人の気配は感じる
視界の隅にぼんやりと人影が見えている感覚がある

はっきりとは見えないが
その人影がこちらを覗き込んでいるのがわかる

中年男性のようだ
見えてないはずなのに
何故かそう思った

緑とも茶色ともつかない
薄汚れた服装は
テレビ等で見覚えのある
旧日本軍の軍服のように見える

いや、見えてはいない
ただ、なぜかそうだとわかる

軍服の男に覗き込まれている

不気味さはあるが
恐怖という程のものではない

ただ覗き込んでいるだけ

と、私はだんだん意識が遠のいた
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