眠れぬ夜に
昭和30年代
地元の商店街に小さな精肉店があった

その精肉店は老婆が一人で切り盛りしており
ホルモンや各種揚げ物が愛されていた

特にコロッケは
夕飯のおかずに
子供達のおやつに
と大人気だったそうだ

私が幼少の頃にも
この精肉店は残っており
ある日、父と祖母との三人で
商店街へ買い物へ行った時の話

『そう言えばそこの肉屋で、婆さんの指がコロッケに入ってたって話があったな』

父がそんな話を始めた

『そう言えばあったねぇ』
と祖母が答えた

この話
地元では結構有名な話で
クラスメイトの両親も知っていた

詳細はこうだ
いつものようにコロッケを作っていた老婆は
不注意から挽き肉を作る機械に手を巻き込まれ指を切断
老婆はそのまま出血性のショックで帰らぬ人となったが
誤ってその挽き肉がそのままコロッケに使われ
販売されてしまった

コロッケを買った客が一口噛じると
中から人の指が出てきた

と言うのがこの話の大筋

ここで疑問
老婆が亡くなったのであれば
一体誰がコロッケを作ったのか?

普通に考えれば
如何にも眉唾な話である

しかし
地元の大多数の大人がこの話を知っていた

ちなみに
私の記憶では
昭和50年代後半までこの精肉店は営業していた

老婆が一人きりで…

この老婆は誰なのか
そもそもこの話は事実なのか
何故大勢の大人がこの話を知っているのか

果たして真相は…
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