眠れぬ夜に
その夜

カタンッ!
という物音で私は目を覚ました

小さなプラスチックのフィギュアが倒れた音だ

確認したわけではない
ただ、なんとなくそうわかった。

いつもならその程度の物音で起きることなどない

理由はわからないが
言い知れぬ恐怖があった

と、次の瞬間
体が動かないことに気付いた

金縛りである

恐怖で目を開けることはできないが
何かに体を押さえ付けられているような感覚だった

まるで激しい向かい風の中にいるような
そんな息苦しさも感じる

助けを呼ぼうにも声が出ない

私は心の中で
何度も何度も
来るなら来てみろ!
と唱え続けた

どれくらいの時間
金縛りにあっていたのだろうか

いつの間にか私は眠っていて
気がつくと朝だった

きっと猫の呪いだ…

何故か私にはそう確信できた

私は怖くなり
学校を欠席したかったが
家族にどう説明すればいいのかもわからず
渋々登校した

学校に着き
さっそく友人に金縛りの事を話した

一瞬でクラス全体にその話は拡散し
朝のホームルームが始まる頃には
教室全体が尋常ならざる雰囲気となっていた

ホームルーム中
さすがに異変に気付いた担任が事情を尋ねるが
誰一人として答えなかった

担任は納得していなかったが
深くは追求されなかった。

休み時間になると
誰からともなく
裏山に向かって手を合わせ
『ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…』
と謝り出した

私もそれに倣った

放課後
クラスはまだぎこちなかったが
一応は平静を取り戻していた

さながら嵐の前の静けさのように…
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