眠れぬ夜に
翌日、私が登校すると
クラスはすでにピリピリとした空気に包まれていた

私の姿に気付いた友人が駆け寄って来る

『あの猫マジでやべぇよ!』

『なんかあった?』
私が恐る恐る聞くと
別の友人が割って入った

『昨日は俺の所に来た!』

『え?』

『俺も金縛りになったんだよ!』

私は驚愕した

『夜寝てたら急に目が覚めて、そしたら体が動かなかった!お前のとこに来た猫だと思う!』

確かに昨夜は金縛りにはならなかった

二人目の被害者…

私一人ならまだクラスのほとんどは半信半疑だっただろう
しかし、二人目が現れた事により
この騒動は一気に真実味を増した

教室一つを巻き込む集団ヒステリーの引鉄が引かれた瞬間だ

朝のホームルームが始まっても
泣き止まない女生徒もいた

担任はただならぬ生徒達の様子を見
一時間目の授業を急遽ホームルームに変更した

数人の女生徒が担任に事情を話す

しかし、初老のベテラン女教師は

『幽霊なんていません!この話はもう禁止します!』
と、語気を荒らげ一蹴した

それは恐らく
昨日までなら効果もあっただろう

が、こと今日に至っては
既に生徒達は盲目となっている
担任の言葉などで収拾するはずもない

『大人にはわからない…』
生徒達の間には
大人への不信感が募っていた

表面上は平静を装い
水面下では恐怖が蔓延していった
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