【続】裏アリ男子にご注意ください!
「……おい桃花」
そして、席に座ってすぐ。
誠が小さい低い声でそっとあたしの耳もとでささやいた。
でもそれにはとてつもなく迫力がある。これはなにか意地悪されるときのトーンだ、ってこの1年近くずっと誠とつき合ってたあたしにはわかる。
「……え、あたしなにかした?」
館内だから、と考えて小声できく。
「……安田のこと『紳士だなぁ』とかなんとか思ってんじゃねーよ。ホントわかりやすすぎ」
「えっ」
ウソだ、バレてた?
でもさっきの美奈ちゃんとの会話じゃあるまいし、口にだしたわけじゃないと思う。
それに「わかりやすすぎ」って。
「誠がわかりすぎなんだよ」
「ちがう。いつもの桃花の百面相だけど?」