Grab
「あんた面白い! ちゃんと周りを見れてる。
でも、不採用ね。
ここはいつ何時でも笑顔でいれる子じゃないと、入れてあげられないの。
悪いけど、あんたは全然ぴくりとも笑わない。だから不採用よ」
……笑顔重視か…。
『いつ何時でも』それは私には難しいと思う。
だから、普通に納得できた。
「分かりました、ありがとうございました」
失礼します、と言いかけた時、誰かが咳払いした。
そちらを振り返ると、男の人がにこりとこちらに笑いかけて言う。
「俺のとこで働く?」
「ちょっと、セイジ! 何言ってんの!?
あんたその意味わかってんの!?」
さっきまで大人の余裕を見せていたのか、今では切羽詰まったような顔をして、男の人に迫っている。