僕と三課と冷徹な天使
灰田の日常
3日目
総務三課に配属されて3日が経った。
三課には大きな窓があって
天気のいい日には
たくさんの光が差し込む。
落ちこぼれが集まるわりには
明るくて清潔な部屋だと
今日やっと気づいた。
「おはようございます」
僕は挨拶をして
自分の席へ着く。
「お、灰田君、おはよう!」
下柳課長が新聞から顔を上げて言う。
相変わらずの歓迎ムードだ。
「おはよー」
コオさんも笑顔で返してくれる。
朝のコオさんは
意外と機嫌が良くてうれしい。
たくさんの光を受けて
コオさんの笑顔も輝いて見える。
朝一番から
どきどきしてしまう僕だった。
♪キーンコーンカーンコーン♪
始業のチャイムが鳴る。
課長とコオさん以外のみんなはまだ来ない。
さすが落ちこぼれの三課らしく
遅刻が当たり前なのだ。
ふと、
僕もたまには遅刻してもいいかな
と思っていると、
すかさずコオさんが
「あ、灰田君が遅刻したら、
私怒るからね」
とにっこり笑って言ったのでびっくりした。
コオさんは読心術を心得ているに違いない。
午前中の休憩はじゅんさんが誘ってくれた。
いつも優しく声をかけてくれるので、
喜んでついていく。
休憩フロアで僕に
コーヒーをおごってくれたじゅんさんは
開口一番
「灰田君は彼女いるの?」
と言った。
僕はデジャブを見ているようだった。
「いえ、いません」
僕にはこの答えしかないので、
仕方なく答えた。
「へえ、じゃあ今度合コンしようよ」
やっぱり聞いたことのある展開だ。
吉田さんとじゅんさんは
とても気が合うんだなあと感心した。
「女の子と話すの苦手なんで・・・
・・・えーと、あの、コオさんは
じゃんさんが配属されたときも
厳しかったんですか?」
このまま話していると
吉田さんの会話と同じ展開になりそうなので
話題を変えた。
「え、僕が三課に来たときのコオさん?
・・・うん、厳しかったよ」
と言ってじゅんさんは頬を赤らめた。
え?と僕は思った。
もしかしてじゅんさん、
コオさんのこと・・・
じゅんさんは続けた。
「僕は気が利かないから
勘違いしたまま仕事をしちゃって
ちゃんと確認しろって
よく怒られたなあ・・・」
恥ずかしそうに、照れて言う。
僕は違和感を感じた。
じゅんさんはコオさんのことが好きで
照れているのかと思ったけど、
なんか違う気がする。
「でもコオさんが怒ると
僕が喜ぶって気がついたみたいで
怒ってくれなくなっちゃったんだ」
悲しそうにじゅんさんは言った。
そうか・・・じゅんさんは
怒られるのが嬉しいタイプなんだ・・・
「あの冷たい顔で怒られるのが
よかったんだけどなあ・・・」
とため息混じりに言うじゅんさんに
僕は何も言えなかった。
「そろそろ行こうか。
灰田君が怒られちゃうもんね」
時間を気にしてくれるじゅんさんで助かった。
三課に戻ると吉田さんが
「おう、おかえり。ドM」
と軽く声をかけた。
「ドMじゃないですよ~もう~」
と言いながら
じゅんさんはうれしそうだった。
コオさんを見るといつもと変わらない
冷たい顔で仕事をしている。
コオさんは大変だなあ・・・
僕はつくづく思った。
少しでもミスを減らして
コオさんの迷惑にならないように
がんばろうと決意した僕だった。
三課には大きな窓があって
天気のいい日には
たくさんの光が差し込む。
落ちこぼれが集まるわりには
明るくて清潔な部屋だと
今日やっと気づいた。
「おはようございます」
僕は挨拶をして
自分の席へ着く。
「お、灰田君、おはよう!」
下柳課長が新聞から顔を上げて言う。
相変わらずの歓迎ムードだ。
「おはよー」
コオさんも笑顔で返してくれる。
朝のコオさんは
意外と機嫌が良くてうれしい。
たくさんの光を受けて
コオさんの笑顔も輝いて見える。
朝一番から
どきどきしてしまう僕だった。
♪キーンコーンカーンコーン♪
始業のチャイムが鳴る。
課長とコオさん以外のみんなはまだ来ない。
さすが落ちこぼれの三課らしく
遅刻が当たり前なのだ。
ふと、
僕もたまには遅刻してもいいかな
と思っていると、
すかさずコオさんが
「あ、灰田君が遅刻したら、
私怒るからね」
とにっこり笑って言ったのでびっくりした。
コオさんは読心術を心得ているに違いない。
午前中の休憩はじゅんさんが誘ってくれた。
いつも優しく声をかけてくれるので、
喜んでついていく。
休憩フロアで僕に
コーヒーをおごってくれたじゅんさんは
開口一番
「灰田君は彼女いるの?」
と言った。
僕はデジャブを見ているようだった。
「いえ、いません」
僕にはこの答えしかないので、
仕方なく答えた。
「へえ、じゃあ今度合コンしようよ」
やっぱり聞いたことのある展開だ。
吉田さんとじゅんさんは
とても気が合うんだなあと感心した。
「女の子と話すの苦手なんで・・・
・・・えーと、あの、コオさんは
じゃんさんが配属されたときも
厳しかったんですか?」
このまま話していると
吉田さんの会話と同じ展開になりそうなので
話題を変えた。
「え、僕が三課に来たときのコオさん?
・・・うん、厳しかったよ」
と言ってじゅんさんは頬を赤らめた。
え?と僕は思った。
もしかしてじゅんさん、
コオさんのこと・・・
じゅんさんは続けた。
「僕は気が利かないから
勘違いしたまま仕事をしちゃって
ちゃんと確認しろって
よく怒られたなあ・・・」
恥ずかしそうに、照れて言う。
僕は違和感を感じた。
じゅんさんはコオさんのことが好きで
照れているのかと思ったけど、
なんか違う気がする。
「でもコオさんが怒ると
僕が喜ぶって気がついたみたいで
怒ってくれなくなっちゃったんだ」
悲しそうにじゅんさんは言った。
そうか・・・じゅんさんは
怒られるのが嬉しいタイプなんだ・・・
「あの冷たい顔で怒られるのが
よかったんだけどなあ・・・」
とため息混じりに言うじゅんさんに
僕は何も言えなかった。
「そろそろ行こうか。
灰田君が怒られちゃうもんね」
時間を気にしてくれるじゅんさんで助かった。
三課に戻ると吉田さんが
「おう、おかえり。ドM」
と軽く声をかけた。
「ドMじゃないですよ~もう~」
と言いながら
じゅんさんはうれしそうだった。
コオさんを見るといつもと変わらない
冷たい顔で仕事をしている。
コオさんは大変だなあ・・・
僕はつくづく思った。
少しでもミスを減らして
コオさんの迷惑にならないように
がんばろうと決意した僕だった。