僕と三課と冷徹な天使
灰田の成長
あれから僕は
何でもコオさんに話すように心がけた。
どこからどこまで言っていいか
わからなかったので、何でも言った。
寝坊して、朝ごはんを食べずに出てきたが
電車を一本逃してしまった、
という
どうでもいいことから
取引先データを扱うということに
責任の重みを感じている、
という
今まで言えなかった大事なことまで。
コオさんは適当に聞き流すときもあったが
大体ちゃんと聞いてくれた。
それがうれしくて、僕の話は止まらず、
お楽しみのランチタイムでも
よく話をした。
「今日は吉田さん
よく寝てましたね」
午前中
ほとんど居眠りしていた
吉田さんを思い出して
僕は言った。
「うん。もう怒りつかれちゃった。
昨日飲んだんだろうね」
コオさんは唐揚げを食べながら
ため息をついた。
「吉田さんのやる気スイッチは
どこにあるんでしょうかね・・・
僕が吉田さんから引継いだ
営業部のデータを抽出する仕事、
あれやりがいがあって面白かったのになあ・・・
吉田さんにはどんな仕事が合うんでしょうね」
僕が一生懸命話しているのに
コオさんはニヤニヤ笑い始める。
「僕、なんか変なこと言いました?」
ちょっと心外だった。
「・・・いや、
灰田も成長したなあと思って」
嬉しそうにコオさんは言う。
「人の仕事の心配をするうえに、
仕事が楽しいなんて
自分から言っちゃって・・・ふふふ」
こらえきれず笑いながら言うコオさん。
僕は何だか恥ずかしくて
「何でも言えって言ったの、
コオさんじゃないですか~」
と全部コオさんのせいにしてみる。
「・・・うん。
素直に言ってくれてうれしい」
笑うのをやめて、
照れたようにコオさんは言った。
その姿がかわいくてドキドキしてしまう。
これは言えないな、と思って
ご飯を口に詰め込む。
コオさんは仕事の顔に戻って
「よっしーはさあ、
基本的にめんどくさがりなんだよね。
どんな仕事をさせても、
そのうち飽きちゃう。
今やってもらってる伝票入力も
そろそろ限界だな~」
コオさんは遠くを見ながら言った。
「次の仕事、何やってもらおうかな~」
コオさんは本当に大変だと思う。
吉田さんは同期なのに・・・
僕ももっと役に立ちたい。
でも何も浮かばない・・・
「あ、体を動かす仕事にするか。
部長に倉庫の片付け頼まれてたんだ。
そうだ、そうしよう」
コオさんは一人で解決して
納得してしまった。
本当に僕は役に立たない・・・
「ね、いいアイディアだよね」
暗くなり始めた僕に気づかず、
明るい顔で同意を求めるコオさん。
「あ、はい。いいと思います」
愛想笑いで答える僕。
「やっぱり?ふふふ。
じゃ、褒めて」
コオさんは笑顔で無茶振りをしてきた。
暗くなっている場合じゃない。
「え?あ、えっと・・・
すごくいい考えが
すぐ浮かんですごいと思います」
「うん。」
待つ体制のコオさん。
「えーと・・・同期なのに
吉田さんのことをよく見てて
合う仕事を考えて、偉いと思います」
「へへへ。それで?」
頬杖をついて首をかしげて僕を見るコオさん。
正直限界です。
もういいや、と思って
「・・・しかも可愛いです」
奥の手を出した。
コオさんは、ふふふと笑って
「ありがとう」
と言った。
多分僕の顔は真っ赤だったと思う。
でもコオさんは余裕の笑みだった。
僕はまだまだだなあ、と思った。
何でもコオさんに話すように心がけた。
どこからどこまで言っていいか
わからなかったので、何でも言った。
寝坊して、朝ごはんを食べずに出てきたが
電車を一本逃してしまった、
という
どうでもいいことから
取引先データを扱うということに
責任の重みを感じている、
という
今まで言えなかった大事なことまで。
コオさんは適当に聞き流すときもあったが
大体ちゃんと聞いてくれた。
それがうれしくて、僕の話は止まらず、
お楽しみのランチタイムでも
よく話をした。
「今日は吉田さん
よく寝てましたね」
午前中
ほとんど居眠りしていた
吉田さんを思い出して
僕は言った。
「うん。もう怒りつかれちゃった。
昨日飲んだんだろうね」
コオさんは唐揚げを食べながら
ため息をついた。
「吉田さんのやる気スイッチは
どこにあるんでしょうかね・・・
僕が吉田さんから引継いだ
営業部のデータを抽出する仕事、
あれやりがいがあって面白かったのになあ・・・
吉田さんにはどんな仕事が合うんでしょうね」
僕が一生懸命話しているのに
コオさんはニヤニヤ笑い始める。
「僕、なんか変なこと言いました?」
ちょっと心外だった。
「・・・いや、
灰田も成長したなあと思って」
嬉しそうにコオさんは言う。
「人の仕事の心配をするうえに、
仕事が楽しいなんて
自分から言っちゃって・・・ふふふ」
こらえきれず笑いながら言うコオさん。
僕は何だか恥ずかしくて
「何でも言えって言ったの、
コオさんじゃないですか~」
と全部コオさんのせいにしてみる。
「・・・うん。
素直に言ってくれてうれしい」
笑うのをやめて、
照れたようにコオさんは言った。
その姿がかわいくてドキドキしてしまう。
これは言えないな、と思って
ご飯を口に詰め込む。
コオさんは仕事の顔に戻って
「よっしーはさあ、
基本的にめんどくさがりなんだよね。
どんな仕事をさせても、
そのうち飽きちゃう。
今やってもらってる伝票入力も
そろそろ限界だな~」
コオさんは遠くを見ながら言った。
「次の仕事、何やってもらおうかな~」
コオさんは本当に大変だと思う。
吉田さんは同期なのに・・・
僕ももっと役に立ちたい。
でも何も浮かばない・・・
「あ、体を動かす仕事にするか。
部長に倉庫の片付け頼まれてたんだ。
そうだ、そうしよう」
コオさんは一人で解決して
納得してしまった。
本当に僕は役に立たない・・・
「ね、いいアイディアだよね」
暗くなり始めた僕に気づかず、
明るい顔で同意を求めるコオさん。
「あ、はい。いいと思います」
愛想笑いで答える僕。
「やっぱり?ふふふ。
じゃ、褒めて」
コオさんは笑顔で無茶振りをしてきた。
暗くなっている場合じゃない。
「え?あ、えっと・・・
すごくいい考えが
すぐ浮かんですごいと思います」
「うん。」
待つ体制のコオさん。
「えーと・・・同期なのに
吉田さんのことをよく見てて
合う仕事を考えて、偉いと思います」
「へへへ。それで?」
頬杖をついて首をかしげて僕を見るコオさん。
正直限界です。
もういいや、と思って
「・・・しかも可愛いです」
奥の手を出した。
コオさんは、ふふふと笑って
「ありがとう」
と言った。
多分僕の顔は真っ赤だったと思う。
でもコオさんは余裕の笑みだった。
僕はまだまだだなあ、と思った。