僕と三課と冷徹な天使
不機嫌
ピーンポーン♪
コオさんの家のチャイムが鳴った。
あれ、もしかして、
コオさん鍵を忘れて出たのかな?
と思ってドアを開けると
坂崎さんが立っていた。
開けてしまった・・・
巻き戻してドアを開ける前から
やり直したい・・・
そしたら居留守使ったのに・・・
「あ、灰田君・・・こんにちは」
坂崎さんはすごいな、と思う。
僕はコオさんの家から
コオさんじゃない人が出てきたら
卒倒するだろう。
こんな状況なのに
あいさつができて、本当にすごい。
「・・・こんにちは・・・」
とりあえず挨拶を返してみる。
「あ、あの、ちょっと近くに来たから
コオちゃんいるかなと思って
寄ってみたんだ・・・」
さすがの坂崎さんも動揺は隠せない。
すみません、僕が出ちゃって・・・
「・・・コオさんちょっと買い物に出てて、
すぐ戻ってくると思うんですけど・・・」
多分、この答えが
聞きたいんじゃないんだよなあ
と思いながらも、
こう言うしか僕には思いつかない。
坂崎さんは
「そっか。」
と言って、そこから動かない。
もう。どうしよう・・・
わからないよー!
混乱した僕は
「中で待ちますか?」
と言ってしまう。
言ってから
いや、違うか、と思うが、
もう遅かった。
「あ、いいかな。ちょっとだけ」
と坂崎さんは言った。
え、入るの?
僕なら入らない。はいれない。
これが元彼の余裕だろうか。
「どうぞ」
もう言ってしまったものはしかたない。
どうにでもなれ。
悟りを開いた修行僧のように
落ち着いた顔で
坂崎さんを入れる。
「おじゃまします」
と言って坂崎さんは部屋に入り、
慣れたようにソファに座る。
部屋を見回している坂崎さん。
あれ、坂崎さんは汚部屋を知っているのかな?
坂崎さんと付き合っていたのは
汚部屋前?汚部屋後?
・・・そんなこと、どっちでもいいか。
今僕にできることは
モツ鍋をおいしく仕上げて、
コオさんの機嫌を伺うことだ・・・
台所に向かう僕。
するとコオさんが帰ってきた。
「ただいまー」
ちゃんと鍵を持っていたコオさん。
「あれ?誰か来た?」
と言いながら部屋に入って
坂崎さんと目が合った。
「あ、ごめん、突然おじゃましちゃって」
坂崎さんはいつもと変わらず爽やかに言った。
コオさんの顔を怖くて見れない僕。
「ビール冷蔵庫に入れます」
と言って、そそくさと袋をつかむ。
冷蔵庫の前にしゃがむ僕の頭に
デコピンをくらわすコオさん。
「・・・っいてっ」
思わず声が出る僕を横目に
ビールを二本持ってソファに座った。
「はい、どうぞ」
一本を坂崎さんに渡し、
もう一本を開けて飲み始める。
あー、僕放置で飲んじゃうんだ・・・
これは、やはり、怒っている・・・
「ありがとう。ちょっと近くを通ったから
寄ってみたんだ」
弁解のように言う坂崎さん。
「部屋、ずいぶん綺麗になったね」
坂崎さんは汚部屋後の人だったんだな。
モツ鍋をかきまぜなから思う。
「はい。灰田が手伝ってくれました」
コオさんが言う。
声は普通。顔は・・・見れない。
「そっか、良かったね。
いい後輩ができて」
褒められているのに
こんなにうれしくないのは初めてだ。
「はい。とってもいい後輩なんですよ」
コオさんの声が冷たい気がした。
あー、もうどうしよう・・・
モツ鍋はできたけど、持って行きたくない・・・
すると
「じゃあ、帰るね」
と言って
坂崎さんが立ち上がった。
「はい。気をつけて」
とだけ言ってコオさんは動かない。
僕の後ろを坂崎さんだけが通る。
「じゃ、灰田君、お邪魔しました」
と言って
坂崎さんは玄関に向かった。
僕はなんて言えばいいかわからず
会釈だけをする。
そして玄関で見送るのもおかしい気がして
台所に立ち尽くしていた。
玄関が閉まる音がすると
「灰田、モツ鍋まだ?」
とコオさんが言った。
振り返ると顔は怒っていない。
僕はとりあえず言うことを聞こう、と思い
「はい。できてます」
と言って
モツ鍋を持ってテーブルに向かった。
コオさんの家のチャイムが鳴った。
あれ、もしかして、
コオさん鍵を忘れて出たのかな?
と思ってドアを開けると
坂崎さんが立っていた。
開けてしまった・・・
巻き戻してドアを開ける前から
やり直したい・・・
そしたら居留守使ったのに・・・
「あ、灰田君・・・こんにちは」
坂崎さんはすごいな、と思う。
僕はコオさんの家から
コオさんじゃない人が出てきたら
卒倒するだろう。
こんな状況なのに
あいさつができて、本当にすごい。
「・・・こんにちは・・・」
とりあえず挨拶を返してみる。
「あ、あの、ちょっと近くに来たから
コオちゃんいるかなと思って
寄ってみたんだ・・・」
さすがの坂崎さんも動揺は隠せない。
すみません、僕が出ちゃって・・・
「・・・コオさんちょっと買い物に出てて、
すぐ戻ってくると思うんですけど・・・」
多分、この答えが
聞きたいんじゃないんだよなあ
と思いながらも、
こう言うしか僕には思いつかない。
坂崎さんは
「そっか。」
と言って、そこから動かない。
もう。どうしよう・・・
わからないよー!
混乱した僕は
「中で待ちますか?」
と言ってしまう。
言ってから
いや、違うか、と思うが、
もう遅かった。
「あ、いいかな。ちょっとだけ」
と坂崎さんは言った。
え、入るの?
僕なら入らない。はいれない。
これが元彼の余裕だろうか。
「どうぞ」
もう言ってしまったものはしかたない。
どうにでもなれ。
悟りを開いた修行僧のように
落ち着いた顔で
坂崎さんを入れる。
「おじゃまします」
と言って坂崎さんは部屋に入り、
慣れたようにソファに座る。
部屋を見回している坂崎さん。
あれ、坂崎さんは汚部屋を知っているのかな?
坂崎さんと付き合っていたのは
汚部屋前?汚部屋後?
・・・そんなこと、どっちでもいいか。
今僕にできることは
モツ鍋をおいしく仕上げて、
コオさんの機嫌を伺うことだ・・・
台所に向かう僕。
するとコオさんが帰ってきた。
「ただいまー」
ちゃんと鍵を持っていたコオさん。
「あれ?誰か来た?」
と言いながら部屋に入って
坂崎さんと目が合った。
「あ、ごめん、突然おじゃましちゃって」
坂崎さんはいつもと変わらず爽やかに言った。
コオさんの顔を怖くて見れない僕。
「ビール冷蔵庫に入れます」
と言って、そそくさと袋をつかむ。
冷蔵庫の前にしゃがむ僕の頭に
デコピンをくらわすコオさん。
「・・・っいてっ」
思わず声が出る僕を横目に
ビールを二本持ってソファに座った。
「はい、どうぞ」
一本を坂崎さんに渡し、
もう一本を開けて飲み始める。
あー、僕放置で飲んじゃうんだ・・・
これは、やはり、怒っている・・・
「ありがとう。ちょっと近くを通ったから
寄ってみたんだ」
弁解のように言う坂崎さん。
「部屋、ずいぶん綺麗になったね」
坂崎さんは汚部屋後の人だったんだな。
モツ鍋をかきまぜなから思う。
「はい。灰田が手伝ってくれました」
コオさんが言う。
声は普通。顔は・・・見れない。
「そっか、良かったね。
いい後輩ができて」
褒められているのに
こんなにうれしくないのは初めてだ。
「はい。とってもいい後輩なんですよ」
コオさんの声が冷たい気がした。
あー、もうどうしよう・・・
モツ鍋はできたけど、持って行きたくない・・・
すると
「じゃあ、帰るね」
と言って
坂崎さんが立ち上がった。
「はい。気をつけて」
とだけ言ってコオさんは動かない。
僕の後ろを坂崎さんだけが通る。
「じゃ、灰田君、お邪魔しました」
と言って
坂崎さんは玄関に向かった。
僕はなんて言えばいいかわからず
会釈だけをする。
そして玄関で見送るのもおかしい気がして
台所に立ち尽くしていた。
玄関が閉まる音がすると
「灰田、モツ鍋まだ?」
とコオさんが言った。
振り返ると顔は怒っていない。
僕はとりあえず言うことを聞こう、と思い
「はい。できてます」
と言って
モツ鍋を持ってテーブルに向かった。