空芽
俺の理由
「……園田 奏芽です」
クラスの連中
だけでなく、先生まで。
それだけかよ、みたいな
顔をして
転入生を見てる。
自己紹介、とふられて
名前だけ言って
だまる奴。
ある意味、
すげぇな、て。
こいつ絶対、
友達つくる気ないだろ。
で?
俺、こいつと
仲良くすんの?
無理じゃね?
地元の奴と
似てる、てだけで。
本当に顔が
似てるだけだったりさ。
正直、
やっていける自信
ないんすけど。
十時センセ、まじ勘弁。
今はどこの担任かも
分からない十時に
軽く助けを求める。
担任が黒板に書いた
『園田 奏芽』。
クラス中にガン見されて
ウザそうな顔をしてる
園田本人。
交互に見て、最終確認。
ちゃんと返事した
わけじゃないんだよ。
転入生と
仲良くします、て。
だから多分、俺が
嫌だ、って言えば
きっと十時も
無理は言わないはず。
どうすんの、って
自答自問。
なりゆきに任せんのが
一番簡単。
あぁ、
それでいいじゃん。
あいつから
声かけてきたら
仲良くしましょ、て。
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