空芽
ガタッ、て
園田が立ち上がった時。
キーンコーンカーンコーン
タイミング良く、
チャイムが鳴った。
あーあ。園田、
座っちゃったし。
それにしてもさ、
綺麗な面してんのな。
なんか
カッコいい、ってよりも
綺麗、とか美人、とか
そんな感じ。
「零、」
横から聞こえた声は
隣の席の佳珠(かず)。
一応、幼馴染み。
みたいな存在。
「……何、」
厳しい先生の授業だから
声を小さめにして
黒板を見ながら
返事をする。
「……転入生、
かっこいいね。」
「園田?」
「他に誰がいんのよ、
零、大丈夫?」
「……何が、」
いきなり大丈夫、て。
いつもながらに
分からない佳珠の思考。
「これからは園田クンの
時代かなぁ、って。」
「……それはそれは
お疲れ様、」
時代とか。知るかよ、
別にさ、意識してた
わけじゃないし。
園田が俺よりモテたって
それは俺には関係ない。
「そういえば零?」
「何。」
「冬チャンと別れたんだ?」
また余計な事を……。
「別れたけど?」
「冬チャン
泣いてたよ〜?」
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