幕末野菜生活!
「結局人参残された……っ!」
土方さんとの朝のバトルを終えて食器を片付けているとある程度は食べたあとがあるが何個か残された人参。
近藤さんは、しっかりと食べてくれていた。
よし……、あとで近藤さんにはよもぎ餅作って土方さんには人参饅頭をあげよう。
私は今、近藤さんの家に住んでいる。
理由は簡単。家族に見放されたから。
家族に裏切られ、見放され雨の中一人で歩いているところを傘もささずに探しに来てくれた近藤さんと土方さん。
二人に助けてもらって以来、やっぱりこの二人が好きだなって自覚した。
「ふぅ……饅頭と餅も出来たし、二人に持って行こうかな」
出来上がった物をお茶と一緒に運ぶ。
この時間帯なら、二人共鍛錬中だろう。
こぼさないように慎重に二人がいるであろう道場に向かった。
そんな時だった。
「あれ………?刀光った?」
自分の部屋に置いてある刀が光ったような気がした。
刀とは、かつて先祖である沖田総司が使っていた菊一文字。
私が家から出る時に咄嗟に持ってきてしまった物だ。その刀は私の部屋に飾られている。
でも、その刀には太陽の光などで光るような装飾はまったくついてないのになんで?
私は机にお盆を置いて刀に近づいて刀を手にとった。
「なんにも異常なんて……いっ!!」
突然手に痛みが走った。
刀身を出していないのに右手に切り傷があり、血が出ていた。
不思議に思っていると、突然意識が朦朧としてきた。
「なんで……っ」
刀を左手に持ちながら前に倒れてしまった。
「こんど……さん、ひじ……かた…さん……」
頭の中に、笑ってる二人が浮かんだのを最後に完全に意識が飛んだ。