鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~




──ドガァ!


 魔物の怒りに狂い、三倍以上くらいに倍増された攻撃が、地面を大きく穿ち、ヒビを入れさせる。


 そのヒビのせいで、また数本の大木が倒れてしまう。


 絖覇は人とは思えないほどの跳躍力で空高く飛び上がると、その攻撃を避けて自らの攻撃を仕掛けた。



──ドドドドッッ!!


 
 絖覇の手から、マゼンタ色の光が溢れたかと思うと、それは光の弾の雨となって魔物を襲う。



 すごい。


 あたしはまた、呆気に取られてしまった。


 あたしの霊力じゃ、なにも出来なかったのに、絖覇はあの怒り狂った魔物を押してる!


 不死身のはずの魔物には徐々に疲れが見えはじめてきたものの、絖覇は汗一つかかない。


 平然とした表情で、途切れることのない攻撃を魔物へと降らせた。


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