鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
そして──ついに魔物は地面にたたき付けられた。
これなら、あたしでも!
「りん! 今だ!!」
「うん!」
「あ、待て!」
へ?
魔物に向かって祈ろうとしたあたしを、絖覇が止める。
「いくら弱らせた魔物でも、今のままのりんにはキツイだろうから・・・・・・」
そう言うと絖覇は、あたしの手を握りしめた。
そして、ポウッとその握りしめた手の平がマゼンタ色の光で包まれた。
あったかい・・・・・・。
それに、なんだかこの感じ──。
絖覇の霊力があたしの中に流れ込んできてる・・・・・・?
もしかして、霊力分けてくれてるの?
彼の顔を見つめれば、凛々しい表情で見つめ返された。
「──これで大丈夫なはずだ」
「ありがとう・・・・・・」
絖覇の分け与えてくれた霊力が、あたしを奮い立たせてくれる。
あたしはそのまま、魔物と向き合うと、手を組んでお祈りのポーズをした。
(お願いします。 魔物を浄化して・・・・・・)
──シュワァアア。
晴天の空から、まばゆい光の粒子たちが光の雨となってあたしたちに降り注ぐ。
あまりの眩しさに、思わず目を閉じた──。
目を開けば、もう魔物は浄化されていた。