鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~




「ほれ」



「うぇ!?」



 ピタリとほっぺたに冷たいものが当たって、思わずヘンな声が出てしまう。


 ほっぺたに当てられたものは、冷たいお茶のペットボトルだった。


 
「やるよ」



「ありがと」


 
 ペットボトルを受け取って、蓋を開けると口を付けた。


 冷たいお茶が、喉を潤してくれる。


 あっという間にペットボトルの半分がなくなってしまった。


 おいしかったぁ。


 喉渇いてたもん。


 ありがと、絖覇!




「りん・・・・・・」



「ん? なぁに?


 あ、あたしはもう元気だよ。


 って、さっきも言ったか」


 
 首を傾げると、絖覇のチャラい表情はあのキュッとした真剣な顔になる。


 絖覇・・・・・・?



< 114 / 445 >

この作品をシェア

pagetop