鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
「お前、自分を大事にしろ!
確かに魔物を浄化出来るのはりんだ。
けど、お前は今、すずかさんのこともあって疲れきってる」
──ビクリ。
突然荒げた彼の声に、身体が反応してしまう。
絖覇、怒ってる・・・・・・。
「もっと、自分のことも考えろよ・・・・・・!」
「っ!?」
悔しそうな表情で言うと、絖覇は強引にあたしをその胸に引き寄せた。
いきなり起こったことに、理解できずにいるあたし。
なに?
なにが起こってるの?
「お前が──りんが大事なんだよ!
わかれよ!」
苦しげな絞り出すような声音に、きゅう・・・・・・と胸が締め付けられた。
絖覇・・・・・・。
確かに、あたしはムリしてた。
お母さんを助けたいから、ムリしてでもムギに祈りを捧げて、被害を抑えるために魔物を倒して。
みんなに心配かけさせたくないから、ムリして笑ってなんとか身体を動かしていた。
絖覇には、バレてたんだね。
いつでも、どんなささいなことでも、絖覇はあたしの苦しみに気づいてしまう・・・・・・。