鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~






 今回ワープしたのも、曾爾と曾於がいる時代。


 すなわち、お母さんたちの時代の一代前。


 目を開けると、そこはあの祠だった。


 今日は、あいにくの雨。


 空が曇っているせいか、世界全体がどんよりとしているように思える。


 あれ。



「今日もあの双子いないね」



「村にいるんだろ。


 そっちに行くか?


 今日の俺らの仕事は、曾爾たちに『番人』について説明してもらうことだ」



「そうだねぇ」


 あたしたちは濡れないために、木の下に入って様子を伺った。


 双子の来る気配もなく、あたしたちは村へと初めて足を踏み入れることになった。




「双子って、可愛いの?


 曾爾ちゃんと、曾於くん・・・・・・『そにー』と『そおー』って呼んじゃお♪


 早く会いたいな~」


 フワフワと宙を浮きながら、そんなことを言うのはもちろん、ナトだ。


 ナトはこの時代の過去に来るのは初めてで、つまり曾爾と曾於にもあったことがない。


 あたしがナトにそんな双子がいるという話はしたことはあるけど、今日が初対面だ。


 
 しばらく歩くと、あたしたちは村へと来ていた。




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