鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
ピーンポーン。
とやりたいところだけど、ここは過去。
まさかインターホンがあるワケない。
こんな大きな屋敷に行くには、どうしたらいいの?
目の前に立ちそびえる大きな大きな屋敷。
これぞ、貴族の家って感じ。
ここだけ本当にデカイよね。
「どうしよー、絖覇~。
何て言ったら通してもらえると思う?」
屋敷の門の前に立っているのは、大きな槍を構えた門番。
着物と鎧の下にあるたくましい筋肉は、着物を着ていてもわかってしまう。
怖いよーっ!
しゃべりたくないっ!
怪しい人だと思われたら、きっと追い払われちゃう。
でも、でも~!
「すみません」
そういって前に出たのは、絖覇だった。
「ここに『番人』の曾爾と曾於はいますか?」
絖覇が喋りかけると男は、何だこいつとでもいいたげにギロッ!とこちらを睨みつけた。
「・・・・・・なにか、姫に用か」
「ええ。
『絖覇とりんが来た』と言ってくれればわかります」
「そうか」
そういって男は頷く。
とりあえず信じてくれたみたい。
けれど、何か考えたような表情をすると頭を左右に振った。
「今、姫たちはここにはいない」
いないの?
出かけてるってこと?
「魔物との、応戦中・・・・・・だそうだ。
近くで大量に発見されたらしい」
えっ・・・・・・。
「それっ、どこですか!?」
あたしは思わず、男に詰め寄っていた。