鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~




 男はあたしにビックリしたような顔をする。


 けれど、なりふり構っていられない。


 こっちでも、魔物が出るんだ。


 助けなきゃ!


 すると、絖覇がいつのまにかあたしの手を掴んで男につかみかかっていたのを止めようとする。


 まさか、助けに行くのをやめろとか言わないよね?


 あたしは何と言われようと行くよ!



「お願いします。


 場所を教えてください!」



「お前らが知ったとして、どうするんだよ」



 男の人はしぶとくて、なかなか場所を吐いてくれない。


 この間にも、曾爾と曾於がっ・・・・・・!



「お願いします。


 教えてください。


 俺らが彼女たちを助けに行きます」



 そういったのは、絖覇だった。


 絖覇・・・・・・!



「お願い、お兄さん。


 私たち、助けに行きます!」



 ナトもフワリと男の前に舞い降りて、そのキラキラした瞳で男を見つめた。



 あたしたちの押しの強さに勝てなかったのだろう。


 男はポリポリと頭を掻いて



「わかった、わかったから!」



 そう言った。


 よかった・・・・・・。



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