鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
そして、目の前に広がっていたのは、悲惨なものだった。
──ドガガガガカ!
「グオオォォオオォッッ!!」
「くっ・・・・・・!」
「うわああぁぁあっ!!」
響き渡る怒号と爆発音。
飛び散る岩のカケラと紅い花。
──ギャリリリ!
「曾爾!」
あたしたちの前に滑り込んできたのは、ボロボロの曾爾だった。
「大丈夫!?」
慌てて曾爾に駆け寄り、彼女を抱き寄せる。
曾爾は大きな白い日本刀を手にしていて、肩から出血していた。
顔を上げれば、魔物が数体うごめき、それと曾於が応戦している。
なに、この魔物の数・・・・・・!
初めてだよ・・・・・・こんなにいるの。
曾於は、霊力を使って魔物を攻撃している。
どうしよう。
曾於も、ぎりぎりの戦いしてる。
「絖覇! 曾於を、お願い!」
「わかった!」
絖覇は鮮やかに見事な跳躍を決めて、曾於のもとへと向かっていく。
あたしは、曾爾を!
「曾爾! 曾爾! 聞こえる!?
あたしだよ、りん!
大丈夫!?」
あたしの声に反応したのか、ピクリと白い瞼が動く。
そして、ゆっくりと瞼が開いた。
「り、ん姉ちゃん・・・・・・?
どうして・・・・・・ここに?」
「助けに来たの!
待って、今傷口塞ぐものを・・・・・・」
あたしが服を破ろうとすると、曾爾はそれを止めた。
「だい、じょうぶ。
私は、不老不死・・・・・・だから、傷口はすぐに塞がるわ」
あ・・・・・・。
そういった直後、曾爾の肩にあった無残な傷が、一粒の血痕も残さずあっという間に消えていく。
これが・・・・・・不老不死の力・・・・・・。