鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
「ギェエエェエ!!」
あたしの雷を浴びた魔物は、奇声を上げると腕を振り回した。
危なく身体をかすりかけて、なんとか避ける。
それは近くにあった木を薙ぎ倒す。
「森が!」
曾爾が、悲鳴に近い声を上げた。
そうだ、祠を壊してはいけない!
「お願い、りん姉ちゃん!
なるべく魔物を怒らせないで!
暴れさせてもダメ!
つまり、一発で浄化するの!」
曾爾が刀で魔物とギリギリと押し合っている。
押し合って互いを押し飛ばしたかと思うと、再び二つの影は激突した。
そのまま魔物を睨みつけながら、曾爾は叫んだ。
たぶん、曾爾と曾於は苦戦しているんだ。
いつもなら、魔物を暴れさせ弱らせてから倒せば楽に倒せる。
でも、魔物を暴れさせると、この祠が破壊されてしまう。
だから、いつもの倍、力を使って魔物を一発で浄化させようとしているんだ。
しかも、今回は魔物の大量発生。
いくら強い双子でも、苦戦するのは当たり前だ。