鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
「・・・・・・すげぇ、マジかよ。
本当に・・・・・・曾爾が剣をなんの迷いもなくつかみ取った」
絖覇はポカーンとして、開いた口が塞がってない。
「なにが、起こったのよ」
目をつむってしまって、状況が理解出来ていなかったあたしは絖覇に説明してもらった。
曾爾が雪華を空に放り投げると、雪華は重力にならってそのまま降下してきた。
そして曾爾の真上に差し掛かったとき、曾爾が目にも止まらぬ速さで雪華の柄を掴んでいたらしい。
けど、曾爾に向いていたのは、刃の方。
普通に掴むと、手がちょん切れてしまう。
けど、そのとき何が起きたのかそれは絖覇には見えなかったらしい。
でも、たぶん曾爾はあたしには見えない速度で剣の柄に手が届くところまで飛び上がると、雪華を掴んでさっきまで立っていた場所に降り立ち、まるでそこから動いていませんよとでもいうふうにしていた。
つまり、曾爾の動きはあたしたちの導体視力ではさばききれないほど、速かった。
これが、不老不死の力・・・・・・。
常人ではありえない速さ、瞬発力、筋力が発揮される。
そして、回復力も・・・・・・。
「わかった?
このおかげで私も速く動けるんだぁ」
そうにこやかに言った曾爾は、雪華を右手の中に返した。
「そにーが雪華を出したとき、雪が出てた気がするんだけど、それって剣が雪華って名前だから?」
ナトが言われて気づいた。
そういえば、剣が現れたとき雪がうっすら降ったっけ。