鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
けれど、一瞬曾爾はキョトンとしたかと思うと顔を左右に振った。
「ちがうよ。
あれは、私が雪を操れるから。
確かに雪華っていう剣だから、ちょっと雪は降るけどでもそれは手のひらくらいのところでしか降らない。
私が雪を操れるから、もっと降ったんだもん!」
ビックリした。
曾爾も、雪が操れる?
お母さんと同じ・・・・・・。
もしかして、番人たちはみんなそうなの・・・・・・?
「りん姉ちゃん、悪いけど曾爾、ウソついてるよ」
「え゙、なにそれ。
どういうこと? 曾爾」
「ギク。」
曾於の冷たい声に、曾爾はビクリと肩を振るわせる。
あたしは曾爾と目線を合わせるため、しゃがみこんで黄緑色の瞳を見つめた。
「わ、私は──」
「ん、なぁに?」
優しく言っても、曾爾は口の中でごにょごにょと言うだけ。
でも、なんか悪いこと言ったかな~。
ウソなんて、ついてた?
けど、曾爾はいっこうに話す気配はなく、しびれを切らした曾於があたしたちに近づいてきた。
「りん姉ちゃん、曾爾が言わないみたいだから、ボクが言うね。
さっき曾爾は動きが速いのは『不老不死の力のせいだ』って言ってたけど、違うよ」
えっ、どういうこと?
「確かに不老不死の力のおかげで、常人とは比べものにならないくらい速く動けるけど、曾爾の場合はちょっと違う。
曾爾は不老不死の力とさらに番人の力『すべてのすばやさを司る』力も持ってるからだよ」
全てのすばやさを司る・・・・・・?
それって、ロイルさんがそうだ。
まだ頭の中がぐちゃぐちゃしている中、曾於の話は続く。
「ボクたち番人は、伝説の鈴を守るために特別な力を持っているんだ。
一つは『雪を操る力』
あとは『すばやさを司る力』
『癒しの力』
『時空移動の力』
『自然と繋がり、力を分け与えてもらえる力』
これらが、番人が持っている力なんだ。
そのうち、雪の力とすばやさの力は曾爾が。
残りの三つはボクが持っているんだよ」
曾於の話に衝撃を受けた。
この双子は特別な力を持ってる。
双子で分け合っているけど、それを考えるとお母さんは・・・・・・。
一人で全部の力、持ってたってこと?
お父さんから聞いた覚えないし・・・・・・。
それ考えたら、お母さん超人じゃん!
それで、お母さんが鈴になってしまったとき、
雪を操る力はゆっきーに。
すばやさを司る力はロイルさんに。
癒しの力はアンゼリカさんに。
時空移動の力はナディーンさんに。
自然と繋がる力はエクさんに受け継がれたんだ・・・・・・。