鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~




 その辺の話は、聞いたことのない話だったから、少しワクワクした。


 
「りん姉ちゃん」



「ん、なぁに? 曾於」



 名前を呼ばれて振り向けば、後ろに曾於が立っていた。


 曾於はあたしの前にしゃがみ込むと、何かお札を取り出して呪文を唱えた。


 
──パァ!



 すると、お札から七色の光が溢れて、身体が軽くなった。


 あったかい・・・・・・。



「なにしたの?」


「回復呪文だよ。 楽になったでしょ?」



 言われてみれば。


「ありがとっ! 曾於」


 曾於に抱き着くと、曾於は素直に抱きしめられた。


 ギュッと抱き着いて来る。


 かわいい!


 きっと反抗するかと思ったけど・・・・・・。


 お腹の辺にスリスリしてるし・・・・・・。


 見た目からしたら、大人っぽい言動してるけどまだまだ子供だ。



 青色の頭を撫でてあげる。



「ふわぁ~、可愛いー!」


 
「やめろっ!」



「ふぇぅっ!?」


 突然後ろから強い力で引っ張られて、グラリと身体が傾く。


 けれど、倒れることはなくて、ポスッとなにかにおさまった。


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