鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
家に入るなり、あたしは叫んでいた。
「お母さん、一大事が!」
「お帰りなさい。
どうしたの? りん」
今からエプロンで手を拭きながら、お母さんが眉をひそめて出てきた。
お母さんにあのこと話してもいいよね。
むしろ、話さなきゃ。
「大事な、話があるの。
ちょっと大声じゃ言えないような」
「・・・・・・そう。
わかったわ。
先に着替えてらっしゃい」
お母さんにそう促され、あたしは階段を駆け上がった。