鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
「ゴメンね、りん姉ちゃん、こう兄ちゃん。
番人についての書物を探すのに、時間がかかっちゃって・・・・・・」
「いいよ、いいよ。
それよりも、話があるんでしょう?」
──本当は、良くなかったのですが。
でも、それより話についてが気になる。
番人について。
「りん姉ちゃんに、番人について説明してほしいって、ムギが言ってたの。
だから、説明するね」
ムギが・・・・・・?
曾爾は、ゴソゴソと一つの書物と巻物を取り出した。
それを開くと、ズラリと漢字が並んでいる。
古文だ・・・・・・。
日本人のあたしでも、脳がクラリと揺れそうになるような漢字の量。
それを、曾爾は読んで教えてくれる。
「私たち、『番人』は、古代から続く、ムギ──伝説の鈴を護衛するための不老不死の者。
何代にも渡り、伝説の鈴と共にこの世の希望と奇跡の力を護ってきた。
私たちの不老不死の力は、この世を護るための力。
私たちには、特別な力が宿っている。
さっきも話した通りね。
この書物には、代々の番人の歴史が刻まれてるわ」
そう言うと、曾爾は巻物を広げる。
そこには・・・・・・。
「うわぁ・・・・・・」
家系図のように線で名前が繋がれた、番人たちの名前が記されていた。
どれも、女の子はこの屋敷に住んでいたお姫様。
男の子は、そのお姫様に仕えていたものか、兄弟。
例え男の子が兄でも、この屋敷の主は女の子だった。
これは・・・・・・。
「この屋敷はね、代々女性しか継ぐことは出来ないの。
理由は分からないけど・・・・・・」
曾爾はそう言って、微笑んだ。
その視線の先は・・・・・・曾於だ。
「何だよ」
なんだか、曾於はご機嫌斜めみたい。
さっきの絖覇みたいな?
でも、絖覇よりは幼い拗ねた顔だけどね。