鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~



 



 それからあたしはお母さんに話した。



 学校での出来事を。



 あの生物は何なのか。



 話終わる頃には、お母さんの唇が青紫になって、細かく震えていた。



「そんな・・・・・・」



「お母さん? どうしたの? 大丈夫?」



 こんなお母さん、見たことない。


 心には、闇が立ち込めていく。



 お母さんの背中をさすると、お母さんはいくらか落ち着きを取り戻して、唇も赤みが差してきた。



「あれはね、『魔物』よ」



「まもの?」



 魔物ってあの漫画とかアニメで出てくるやつ?



 本当にこの世に、そんなものが・・・・・・。


 信じられなくて、あたしはフローリングの床へと視線を落とした。



「今日、お父さんが仕事早く終わるんですって。



 そのときちゃんと話すわ」



「・・・・・・わかった」



 お母さんの見たこともないような真剣な顔に、頷くことしかできなかった。



< 15 / 445 >

この作品をシェア

pagetop