鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
それからあたしはお母さんに話した。
学校での出来事を。
あの生物は何なのか。
話終わる頃には、お母さんの唇が青紫になって、細かく震えていた。
「そんな・・・・・・」
「お母さん? どうしたの? 大丈夫?」
こんなお母さん、見たことない。
心には、闇が立ち込めていく。
お母さんの背中をさすると、お母さんはいくらか落ち着きを取り戻して、唇も赤みが差してきた。
「あれはね、『魔物』よ」
「まもの?」
魔物ってあの漫画とかアニメで出てくるやつ?
本当にこの世に、そんなものが・・・・・・。
信じられなくて、あたしはフローリングの床へと視線を落とした。
「今日、お父さんが仕事早く終わるんですって。
そのときちゃんと話すわ」
「・・・・・・わかった」
お母さんの見たこともないような真剣な顔に、頷くことしかできなかった。