鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~




 もし、書物に記されてあったことが、真実なら。


 絶対にそんなこと、させない。


 必ず、阻止する。



「私も・・・・・・!


 そにーとそおーは大事な仲間だから!


 大好きだから、絶対守るよ!」



 ナトも、自分の胸に強く握りしめた手を当て、仁王立ちした。


 ナト・・・・・・。



「俺も、りんとナトと同じだ」



 絖覇もマゼンタの瞳を強く輝かせて、あたしたちの傍らに立った。






 曾爾と曾於はあたしから離れようとしない。


 やっぱり、いくら強い不老不死の番人たちといっても、まだこの子たちは10歳。


 幼い子供に過ぎないんだ。


 それに、ムギに聞いた話だけど、この双子の両親は曾爾たちが5歳のころに亡くなってしまったらしい。


 まだまだ甘えたいのに、お母さんたちがいなくて、寂しいはず。


 あたしはお母さんでもないし、なれないけど・・・・・・せめて甘えさせてあげることくらい出来るよね。



 あたしはしばらくの間、出来るだけ、強く、優しく、双子を抱きしめていた。






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