鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
なかなか離れようとしない双子をなんとかなだめ、あたしたちは現代へと帰った。
家に着けば、そこにはお父さんと──ムギがいた。
「あっ、ムギ!」
「りん、絖覇、ナト!
どうだった? 三人だけの旅は。
ナトは曾爾と曾於に会ったのは初めてよね?
可愛いでしょー、あの双子!」
ムギはこちらに気づくと、パタパタと歩いてきてニコリと笑った。
「可愛かった・・・・・・」
「? どうしたの?
テンション低いじゃない。
ナト、具合でも悪い?」
ムギの言う通り、ナトにしてはテンションが低い。
さっき、番人についての真実を知ってしまってから、ずっと暗い表情のままだ。
何を言っても反応が薄くて、こちらが戸惑ってしまう。
それほど、ショックだったのかな。
「──ううん、具合は悪くない。
なんでもないよ」
「・・・・・・そう」
ナトの様子から感じとったのか、ムギもそれ以上は追求しなかった。
「ムギ」
そのナトを横目に、あたしはムギを強く見据える。
ムギの黄金色の瞳と、視線がぶつかった。
「何かしら、りん」
「──話が、あるの」
意を決して、あたしはムギに話を振り出した。